フィンランドのサーキュラー・エコノミー・ロードマップ 2.0v

2016年に世界初のサーキュラーエコノミー ・ロードマップを発行したフィンランド。先日2.0版がリリースされました。

初版では、食料・森林・テクニカル(技術分野)・輸送交通と物流の4分野にフォーカスするよう設定されていました。

今回は3年間の活動を基に、さらに横断的で戦略的な4つの目標を設定しました。

 

横断的で戦略的な目標

1, 競争力と活力の基盤を更新していくこと

CEを促進することは、フィンランドの経済を発展させること。CE経済は、年間数十億ユーロに達する付加価値を生み出し、世界市場におけるフィンランド企業の競争力を高め、新たな雇用を生み出す可能性がある。

2, 低炭素エネルギーへ移行すること

CE発展と地球温暖化の1.5度上昇への制限を実現するために、国内政策と欧州連合の気候とエネルギー政策の両輪で実行するたな雇用を生み出す可能性がある。

3, 天然資源は詐欺行為。徹底的なリサイクルおよび天然資源の使用に配慮すること

原材料を繰り返しリサイクルすること、製品の資源効率を考えCEビジネスモデルの採用へ転換する。

4, CEへ移行するための日常の決断に変化をもたらす  

現在のフィンランドの生活様式では、およそ4つの地球の天然資源を必要とする。そのため、文化、課税、所得分配の観点から、モノの所有について新しい方法を採用する必要がある。

では、こうした目標は一体だれがやるのでしょうか?
フィンランド社会における各プレイヤーのためのビジョンが掲げられました。

 

各プレイヤーのためのビジョン

政府

すべての行政部門がCE経済に影響を与える必要がある。そのため省庁間の協力は不可欠である。

自治体

産業政策と公共調達、教育、そしてよりスマートな土地利用のための解決策を見つけるための新しい基盤を提供する。

民間企業

CE事業は、企業間および企業と公共機関との間に新しいコラボレーションを生み出す。

国民

CEへの移行に向けてさらなる貢献を実施する。

 

これらのビジョンを実現するために、現在、すでに実施されているCE移行への代表的なアクション16項目が照会されています。一人ひとりができるアクションをみつけて取り組むように促進されています。

 

CEアクションの事例

  1. バッテリーエコシステムの確立
  2. 産学連携における共生都市の構築
  3. 使用済みの建築資材のデータベースの構築
  4. 建設業におけるCE基準の採用
  5. 合成生物学の促進
  6. 繊維廃棄物を原材料とした新素材の開発
  7. リサイクル製品の品質システムの確立
  8. フィンランド企業における水に関する世界的なリーダーシップ
  9. 持続可能な生活様式の実行で気候変動の緩和に貢献
  10. 持続可能な生活とCEに関する教材を小学校へ提供
  11. CEビジネスへの移行に向けた迅速なパイロットプロジェクトの実施
  12. ショッピングセンター内にCEセンターを設置
  13. CEビジネスを国際的に加速するためのCE投資プログラムの実行
  14. 材料の再利用に関する安全上のリスク管理の確立
  15. 炭素吸収源としての農場の利用についての研究
  16. CEビジネスへの移行支援のための製造業向けのビジネスツールの提供

 

こうしたアクションをはじめCEをどのようにモニタリングしていくのでしょうか?

 

あらゆるモニタリングの実施

CEへの移行は、特定の材料や分野に限定されません。CE全体に影響を及ぼし、すべての製品とサービスに関わる体系的な変化です。したがって、CE移行への進捗状況をモニタリングすることは困難な作業です。 

CEを測定するために、既存の統計などを使用することができますが、新しい種類の統計手法も必要です。モニタリングの結果は、新しい取り組みの優先順位を決定する際のベースラインとして使用できます。

フィンランドの国レベルとしてのモニタリング、欧州連合におけるモニタリング、このほか特許出願や資源生産性または付加価値の視点など、あらゆる視点からモニタリングを実施しているようです。

 


着実にロードマップの道を歩んでいるフィンランド。2018年はCE元年と言えるほど、スタートアップ企業を中心としてCEビジネスが生まれました。

今年2019年は、第3回目の世界サーキュラーエコノミー ・フォーラムを6月に再びヘルシンキで開催予定です。

 

参照資料:FINLAND’s Road Map to the Circular Economy 2.0

 

 

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フィンランドのサーキュラー・エコノミーのロードマップ

 

フィンランドの2017年3月期の失業率は9.6%でおよそ26万人が失業中。EU先進諸国の中でトップの経済不況国。そんな状況から打破するべく、今サーキュラー・エコノミー(CE)に力点をおき、フィンランド経済そのものに変革を起こす動きが出てきています。

CEへ移行することにより、2030年までにおよそ75,000人の雇用が創出されるという推計があります。もちろん世界の気候変動対策や再生可能エネルギー革命へ向けた取り組みではありますが、フィンランドの強みの一つである「イノベーション」を用いて、IoT、Fintech、AR/VRなどのテクノロジーでCEを実現していくロードマップ(2016-2025)が策定されました。

以下、概要をお伝えします。

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CEの目標

フィンランドは、過去25年にわたる持続可能な開発を構築してきた、世界初の持続可能な開発に関する国家委員会を設立している。そこでは、幅広いステークホルーダのメンバーシップで構成され、そのメンバーの合意は今でも受け継がれている。このステークホルダーの参加により、国家の指導的役割と企業と異なるステークホルダー間の協力強化、輸出成長の追求、さらには国内市場のテストプラットフォームとして使用することを視野に入れて策定された。

都市化、気候変動、人口増加、高齢化などの世界的な課題から生じる機会に基づいてターゲットを設定。さらにフィンランドの強みとするIoT、Fintechなどのテクノロジーの専門知識と、小国家ならではのさまざまな分野との垣根を超えたコラボレーションを強化する潜在能力を基本としている。

そして2025年までには、以下を実行することでCEにおける世界的なリーダーになるとしている。

企業と輸出の成長を目指したCEの包括的な解決策を創造
国内市場の機能性を確保
迅速な行動と具体的な試行、CEへのメインストリーム化

 

2025年までの達成項目

フィンランドの競争力を強化し、新しい雇用と持続的な成長を創造。これにより、フィンランドの経済には少なくとも30億ユーロの付加価値が生まれ、「温暖化効果ガス排出と自然資源の消費の増加」と「幸福と経済成長」について切り離して考えることに貢献できる。

以下、経済、環境、社会分野の視点から具体的な達成項目をあげる。

経済分野:フィンランド経済の新たな基盤となる
・CEによって企業の競争力を向上。売り上げ高や新技術のイノベーションをもたらす
・輸出上の利点となり、国際化を望む企業の数を増加
・資金調達モデルの改革によりCEを支え、公的調達や共同組合などの援助を利用
・環境改善によって新たな成長とビジネスの創出

 

環境分野:資源枯渇に対する解決のモデル国として
・資源効率の大幅向上
・マテリアルサイクルをより効率的にし、再生可能な天然資源が再生不可能な資源に取って代わり、カーボン・ニュートラルで廃棄物のない社会へと移行
・CEはフィンランドの生態学的な持続可能性を向上
・CO2排出量や汚染負荷などの環境影響をより抑制

 

社会分野:適応者から先駆者へ
・社会的行動のための政策手段を決定する際に、CEが考慮されるようになる。公共部門においては、幅広い方法でCEに参加する。官庁、民間、第三セクター間の官民パートナーシップが重要な役割を果たす
・フィンランドに幸福をもたらし、サービスと共有経済(シェアリング・エコノミー)への移行を促進
・CEの認識は向上し、国内市場の需要回復と、CEの製品やサービスの注目が集まる
・消費者はサービスやリサイクルの共有など、新しい消費モデルを取り入れる

 

主要4分野にフォーカス

以上のことを踏まえてCEへ移行するためには、システムの変化が必要である。異なる組織や産業間において、新しい運用方法や考え方を変える必要がある。それには最も重要な分野に焦点を当てる必要があり、まずは4つの分野を選択。4分野に加えてそれらを体系的に変化させるための国際的な共同行動を、5つ目の分野として設定した。

1、持続可能な食料システム
より持続的で総体的なシステム開発に関与する。

2、森林を基本としたループ
森林産業は昔からフィンランドの主要産業。CEにおいても強みであることは変わらず、最善の専門分野と認識。

3、テクニカル(技術的)ループ
ここでは製品のライフサイクルの延長に焦点。フィンランドの強みであるIoTにより、ループ全体を長くして物質価値を最大化することで、製品のインテリジェンスが高まり、そこからサービスが生まれる可能性がある。

 

4、輸送交通と物流ループ
この分野は相乗効果が最も高い。物流能力の利用レベルの向上、化石燃料の再生可能または代替エネルギーへの転換、輸送ルートの最適化を図るためのソリューションなど。デジタル化では、旅客輸送におけるスマート輸送(Maas = Mobility as a Sercive、サービスとしてのモビリティ)へ移行し、より資源効率を高める。

 

5、国際的な共同行動
以上4分野を実行しそれぞれを達成するためには、政府、企業、大学、研究機関、消費者、市民などと体系的な変化が必要。それにはコミュニケーションと多様な相互作用が重要である。

 

ロードマップのアクション

以下3つの方法によって促進される。

・政策アクション:CEへ円滑に移行するためのコスト効率やその他の管理上の前提条件を合理化、調整、改善する方法などを立法上で実施

・主要プロジェクト:上記4分野のプロジェクトを実施

・パイロットプロジェクト:既存の技術革新とベストプラクティスを普及

 

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いかがでしたでしょうか。
所々に過去記事とリンクした内容がありますので、適宜ご参照ください。

日本と比べて人口およそ20分の一の国家の生き残りをかけたサーキュラーエコノミー・ロードマップ。長引く不況から打破するための「雇用政策」でもあり、気候変動などの「環境対策」でもあり、現在改革中の社会福祉制度に対する「社会政策」でもあり、そして今年独立から100年を迎えた小国家としてのこれからの「サバイバル政策」でもあります。

フィンランドの特徴ともいえる「国際競争力」「イノベーション」「国家の安定度」「透明性」などをどう活かしていくのか。

既存の研究分野でもあるバイオテクノロジー、工業デザイン、健康とセキュリティにおけるICT、ワイヤレス・テクノロジーなどあらゆる分野においてイノベーションが起こせる可能性を秘めている国、フィンランド。

過去ノキアのような栄光を再び見ることはできるのでしょうか。サーキュラーエコノミーのリーダーを目指して、まずは6月5日~7日にヘルシンキで開催される「世界サーキュラー・エコノミー・フォーラム2017」のホスト国としての存在をアピールすることでしょう。

このフォーラムの様子は後日お伝えする予定です。