フィンランドのサーキュラー・エコノミー・アクションプラン

フィンランド政府は、サーキュラーエコノミー(CE)のロードマップを具体化するための行動計画を発表しました。

行動計画は、環境省、経済産業省、農林水産省、フィンランドのイノベーション基金機関であるSitraによって策定され、ロードマップのフォローアップとして以下の3つを優先事項として掲げています。

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1、持続可能で革新的な公共調達を促進
CEの市場アクセスを促進するために、フィンランドにおける公共部門の購買力は、現在よりも利用されると予測される。公共調達における価値は毎年300億ユーロを超えると算出。
Sitraとフィンランド環境研究所は、地方自治体がCEソリューションに関する共同調達を実行するために、アクセラレーター・プロジェクトを導入予定。共同資金を提供している地方自治体へCEに関する専門知識を提供する。

またSitraと各省庁は、CEの目標達成のためのインパクト投資と社会的インパクト債券の適合性の検討を開始。2019年に欧州初となる社会的インパクトボンド(EIB)のプロジェクトを開始する予定。

 

2、サーキュラーエコノミーのプラットフォーム策定
現在、フィンランド全体で民間企業におけるCEビジネスの実稼働とそのデータ収集を行うためのオープンな環境を作り出そうとしている。例えばヘルシンキ市のビジョンである「次世代の移動革命”Mobility as a service (MaaS)” / モビリティーのサービス化」が好事例として挙げられる。これは旅行の計画から、予約、電子チケット発券、料金決済サービスまで、公的、民間ともに、すべての移動手段を統合するデジタルプラットフォームである。

テクニカルリサーチセンターのVTTでは、企業や研究機関が産業規模や輸出に向けたアイデアを開発するユニークなエコシステム”Bioruukki”を試行中。

また国家の研究開発戦略において、このCEと同じぐらい関心あるテーマとして、各分野におけるデジタル化がある。CEにおけるデジタル化は、すべてのCEを可視化するのに重要な役割を果たすと考えられる。そこでSitraは、”Smooth Services”プロジェクトの設立を予定。これは、市民の個人情報とサービスプロバイダーをつなげるデジタル・プラットフォームである。パイロットセクターは、輸送機関と食料システム分野を予定している。

 

3、革新的な新製品やサービスの支援
Team Finlandは、CEに関する研究、開発、パイロット、デモストレーション、事業開拓、市場参入、国際化に対する企業サポートを提供。
Sitraは、特に合成生物学、森林生態系サービス、付加価値の高い木材製品、水などの分野のビジネスを優先して、これらの技術革新、製品、サービスを実証するプロジェクトへ資金を提供。さらにCEビジネスモデルの100事例を収集予定。企業間の影響を与え、運用モードやビジネスモデルの重要指標を分析することを目的としている。

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以下はCEを促進していく他の側面として、教育と国際的なリーダーとしての役割を挙げています。

4、臨機応変な教育
CEの画期的な進歩を遂げるための前提条件として、国民の知識と技能の向上が挙げられる。SItraと教育文化省は、CEの理解や目標を達成するための必要なスキルを提供することによって、将来のCE専門家の確保に取り組んでいる。具体的には大学や職業学校においてCEに関する教育プログラムを導入し、2018年には6万人の専門家を養成するとしている。

 

5、国際的なリーダーとしての役割
CEだけではなくSDGsを支えるビジネスソリューションとその資金調達の関心が高まる中、国際的な規模で最も効果的な措置を実施するために、公的資金の事業モデルを開発予定。例えば気候変動の緩和と適応を強化するために、水分野のCEソリューションと国際プロジェクトを創出し、責任投資ファンドとインパクト投資のモデルを検討している。

また国際的なリーダの役割の一つとしてSitraは、今年2017年にヘルシンキで開催した世界サーキュラーエコノミー・フォーラムを、来年2018年には東京で、2019年にはEU議長国とともに再びヘルシンキで開催することを発表している。

 

 

このような発表とともに環境大臣のTiilikainen氏は「フィンランド政府は法律でもCEを促進し、民間企業や公共事業者に大胆な事業改革のインセンティブを提供する」とコメント。

また農林大臣のJari Leppä氏は「食品ロスを減らし、持続可能な食糧システムを作り出すことは不可欠であり、政府もこれを促進するよう努力する」とコメントしています。

 

ヘッダーリンク先:https://www.slideshare.net/SitraEkologia/the-most-interesting-companies-in-the-circular-economy-in-finland-feb-2017

 

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テクノロジーで社会課題を解決するフィンランドのスタートアップ

昨日、安倍首相がフィンランドを訪れた際に「日本はフィンランドに親近感がある。なぜなら日本国民はムーミンやサンタクロースが好きだから」なんていうニュース記事がありました。

ですが最近はフィンランドといえばスタートアップ”SLUSH”という人もいるほど、起業文化が醸成されています。

先日の世界サーキュラーエコノミーフォーラムでは、「資源循環」をビジネスとしている企業の表彰があり、受賞企業は偶然にもスタートアップビジネスの企業でした。今回はその企業をご紹介したいと思います。

 

食品ロスを抑えるためにレストランと消費者をマッチング
ーResQ社

ブッフェスタイルの多いフィンランドのレストラン。最近では伝統料理に加えて、中華や寿司ブッフェも増えてきています。しかしブッフェだと大量に食品が余ってしまいますよね。そこで食品ロスを抑えるために、カフェやレストランと消費者をつなぐマッチングサービス”ResQ”が誕生しました。

今日のランチが余りそうだな、というお店がアプリに登録すると、その近くにいるユーザーへ通知が届きます。欲しいユーザーは、電子決済で前払いして、同日の指定時刻までに取りに行くという至ってシンプルな仕組み。

 

食べ物を捨てるのがもったいない
ーテクノロジーで社会課題を解決

ドイツの「mealsaver」とフィンランドの「ResQ」社の合併ビジネスでベルリンを拠点とするスタートアップ起業。食べ物を捨てるのがもったない。まだ食べられるのに食品管理上、早めに捨ててしまう現状から食品ロスが急増。そんな問題をテクノロジーで解決したい、という想いからビジネスが始まりました。

青年期をタンザニアと南アフリカで過ごしたResQ社のCEOであるTuure Parkkinen氏は、「純粋に感情的な理由で会社を設立したくはなかった。しかし、この食品廃棄物の問題は明らかで、人々の生活をより良くするために具体的な行動を起こしたかった」とスタートアップ設立の背景を述べています。

現在フィンランド国内には首都圏を中心とするおよそ200店舗がResQに登録。

実際に先述のフォーラムの帰りに中華レストランのランチロスを買ってみたところ、特に味が落ちていることもなく、夕食の一品として美味しくいただきました。

フィンランドのNatural Resources Instituteによると、フィンランド国内のレストランでは調理した食糧の5分の一が廃棄されて、毎年約8000万キロの食品ロスが発生しているといいます。

そのような状況から、フィンランドのSDGsやサーキュラーエコノミー(CE)の目標には、食品ロスの削減が含まれています。

このResQ社は決してSDGsやCEの目標に準拠したわけではなく、単純に「人々の生活をより良くしたかった」という理念からビジネスが始まりました。

スタートアップ文化が根付いたフィンランド。これからはサステナビリティとスタートアップが組み合わされ、社会課題解決のために一層イノベーションが加速することは間違いないでしょう。

 

加筆修正:2017年7月12日