持続可能な開発の国家委員会を設立した世界最初の国、フィンランド

「世界一の教育大国」「世界一お母さんに優しい国」などで知られるフィンランド。これらはすべて持続可能な社会に向けた取り組みの一部で総合的に見ると、実は国連環境開発会議が開催された1992年の翌年に、持続可能な開発に関する国家委員会を設立した世界で唯一の国である。以来25年に渡り、持続可能な開発に関する指導的な運営を行ってきた結果、教育や育児に関する側面で評価を得た。

昨年2016年に国連の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムにおいて各国の取り組み状況のレビューがあり(SDGs Index)、フィンランドは149カ国中4位にランクイン。その評価の主な概要は、

1、25年にわたる持続可能な開発の構築

2、アジェンダ2030に向けた好調な実施状況

2−1、複数のステークホルダーエンゲージメントとパートナーシップを可能

2−2、アジェンダ2030とSDGsを体系的に取り組む

2−3、これらをモニタリング、アカウンタビリティおよびレビューする仕組みが完備

など

それぞれの内容について簡単に説明する。

1、25年にわたる持続可能な開発の構築
冒頭で述べた通り、1992年の国連環境開発会議(UNCED)がリオデジャネイロで開催された翌年1993年に、持続可能な開発に関する国家委員会を設立した。総理大臣を筆頭にした委員会は、幅広いステークホルダーのメンバーシップで構成されており、今現在でもその合意は受け継がれている。

委員会設立後は、持続可能な開発のための包括的な国家戦略の導入を実施。2050年に向けた最新の国家戦略が2013年12月に採択され、昨年2016年4月に「アジェンダ2030」に沿って更新されている。

国家政策と措置の指針は、政治的な指導者、政策の一貫性、長期的な視点、ボトムアップ計画、複数のステークホルダーの参画、そして相互学習に基づく継続的な対話と信頼などである。さらに持続可能な発展の指標開発およびその使用を含む、タイムリーなフォローアップとレビューの仕組みが、「フィンランド・モデル」には不可欠な部分である。

2、アジェンダ2030に向けた好調な実施状況
人口550万人。資源小国であることから、行政をはじめ、自治体、企業、市民社会、学校などの複数のステークホルダーが参画して意識を高め、持続可能な社会への行動を促すことは非常に大きな課題である。

2016年末には2030年の国家戦略が策定され、これを基に開発政策の目標である「女性と女子の権利」「開発途上国の経済強化による雇用創出」「食料安全保障」「水とエネルギーへのアクセス」などを掲げた。

 

2−1、複数のステークホルダーエンゲージメントとパートナーシップを可能
フィンランドの国としてこのエンゲージメントに主要な委員会が2つある。

一つは、フィンランド開発政策委員会(Finnish Development Policy Committee)。開発政策の観点からフィンランドの持続可能な発展のアジェンダ実施に従うことを使命とする国会議員団体。

もう一つは、持続可能な発展に関する国家委員会(The National Commission on Sustainable Development)。世界でいち早く設立し25年にわたる首相が提唱するパートナーシップ・フォーラム。政策、措置および日々の実践を統合することを目的とする。またアジェンダ2030の実施のフォローアップとレビューを行い、持続可能な発展への社会のコミットメントを実施することを任務としている。

さらに8人の教授と専門家を含むアカデミックな持続可能な開発エキスパートパネルには、各委員会の課題に取り組み、必要に応じて彼らのアドバイスを取り入れている。

ステークホルダーの課題は、「地域社会」「子どもや青少年」「障がい者や移住者」などが挙げられ、アジェンダ2030にもこれらが追加されている。

2−2、アジェンダ2030とSDGsを体系的に取り組む
アジェンダ2030を実施するために、さまざまな政策分野で措置が講じられている。首相はSDGsの目標をカバーする既存の政策、措置、実施活動、予算を関連省庁に確認要請を行った。各省庁がアジェンダとSDGsをマッピング。これによりフィンランドの強み(すでに取り組みが実施されている、または優れていると評価された点)と弱み(取り組み未実施、または平均より劣っている点など)を明示。

特に弱みについては「人口規模に比べて高いCO2排出量」「生物多様性の保護の強化」「雇用創出」など、SDGsの7,8,12,13および15について指摘されている。

ジェンダー平等においては、男女平等な国と高く評価されているが、ジェンダーに基づく暴力や賃金格差においてはまだ発展途上である。

 2−3、モニタリング、アカウンタビリティおよびレビューする仕組みが完備
SDGsを達成するために、オープンで高い透明性、包括的かつ参加型のフォローアップとレビューを提供することをコミットしている。市民と国際社会への説明責任を果たすために、定期的な進捗状況と成果がレビューされる。

開発途上国における持続可能な開発目標の実施にフィンランドが貢献するだけでなく、SDGs17のグローバルパートナーとしてフィンランド自身の結果をベースに途上国へのマネジメントアプローチと評価基準が適用される。

2017年1月、国連SDGsのワーキンググループにフィンランドの専門家が選出され、フィンランドのサステナビリティ・モデルやその実装性について、多くの国が注目している。今後リーダーとして他国を牽引しながら、自国のサステナビリティについても注目されるであろう。

 

リソース:国連フィンランド外務省

Photo by : kepa

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さようなら 2016年

 

今日12月28日は、日本の仕事納めですね。ここフィンランドでは特にそういう習慣はなく、強いて言えば先週クリスマス直前に”Season’s Greetings”を出す方たちが多く、これを以て「今年の私の仕事はおしまいです」という雰囲気があります。

さて今年2016年もいろいろありました。ざっと「サステナビリティ関連」「フィンランド全般」そして「個人」を振り返ってみましょう。

1、サステナビリティ関連

昨年2015年に採択されたSDGsのレビューがあり、各国の取り組み状況をランクづけたSDGs Indexが発表され、フィンランドは149カ国中4位と健闘。日本は18位。これから15年間と長い道のりですので、ランキングで一喜一憂することなく、国、地方自治体、各企業、市民社会とそれぞれのステークホルダーでやるべきことを洗い出し地道に取り組んでいくことが求められます。

日本政府の動きとしては、SDGs推進本部が設置され、年末間近に第二回の会合を開催。8つの優先課題と140の施策を決定。「国際保健の推進」「難民問題の対応」「女性の輝く社会の実現」などに取り組んでいく模様。

国際的な動きとしてはなんといってもパリ協定。結局日本は第一回締約国会議にはオブザーバーとしての参加となり、出遅れ感満載のスタートとなりました。この協定において欧州連合は、2030年までにGHG排出量を1990年比で少なくとも40%の削減目標を掲げています。

これに追随して欧州各国、特にドイツは2030年までにガソリン自動車の販売禁止、オランダ、ノルウェーは2025年から販売禁止を検討、というレベルの目標を立てています。さて、日本はいかに?

続いてGRIですが、G4発行からわずか2年弱で「GRIスタンダード」を発行。これについては前回書きましたので割愛しますが、2018年7月までにこのスタンダードへ完全移行することになります。今後G5, G6, G7,,,,,という方向ではなく、モジュール化(形式化)の変更ですので、部分部分の見直しとなります。

そして生物多様性の国際会議COP13が12月上旬に開催され、農業、林業、漁業そして観光業が統合して生物多様性の保護に取り組んでいくことが決議されました。

その他加速した動きとしては、ビックデータの活用をこのサステナブルな世界でも取り込んでいくことが各方面で推進されています。例えば世界中にわたるサプライチェーンのデータ把握に高い透明性とタイムリー性のあるビックデータを使用することが、これからは主流となってくるでしょう。

この他にも各分野でいろいろな動きがありましたが、個人的にはこうした動きに注目した一年でした。

 

2、フィンランド全般

2016年も長引く不況から脱出できなかったフィンランド。政府の最新報告によると2016年11月のGDPはわずか1.6%。失業率は8.1%と不景気邁進中の状況です。確かこの数字、昨年2015年の最後のブログで書いた内容とほぼ同じかと。

欧州委員会からもフィンランド、イタリア、キプロス(確か)は最悪な経済状況であると指摘。にもかかわらず際立った雇用対策やビジネス創出策は見当たらず。人口550万人の小市場であることから、どんどん国外に雇用が流れているという話も聞きます。

サステナビリティと関連した話しでいうと、フィンランドでは「アジェンダ2030」という国家戦略があり、その中でつい先日国家エネルギーおよび気候戦略が見直され、2020年代までに再生可能エネルギーを50%増やし、長期的に炭素中立(カーボンニュートラル)エネルギーシステムの構築を目指すことになりました。

これに伴い新しい支援プログラムおよび雇用創出が見込まれ、いよいよ景気が回復するかと期待している人々も少なくありません。いや、もういい加減に不景気から脱出しましょうよ。

この他には、9月にネオ・ナチ団体のデモにおいて、反デモの一人がデモの参加者に暴行され、その一週間後に脳出血で亡くなった事件がありました。これを機に国内では一気に「北欧抵抗運動」への反対の機運が高まりました。そして独立記念日である12月6日には、またネオ・ナチ団体のデモが展開されると同時に、このデモの参加者一人あたり0.05ユーロとして実際の参加人数分を各人種団体へ寄付するというキャンペーンが展開されました。

外国人排斥も意外と発生しており、日本からみるフィンランドとは実際は異なります。

来年2017年はフィンランドの独立100周年を迎えます。景気回復やこうした人種差別などの解決に、どう取り組んでいくのか。100周年の祝賀ももちろん大切ですが、この節目の年に国としての意義や未来像を打ち出していくことも期待されています。

 

3、個人として一年を振り返って

最後に個人としてこの一年を振り返ると、今年はおかげさまで多方面からお声がかかり多くの人たちとの出会いがありました。母国日本からはフィンランドの乳幼児用ミルクについてやサステナビリティ関連はもちろん。フィンランドではさまざまな会議やセミナーに参加して、フィンランドをはじめ欧州各国、遠く離れた南米やアフリカ大陸の人々との出会いがありました。

こうしたつながりを持てたことに感謝しつつ、来年はより仕事につなげてここフィンランド発のCSR・サステナビリティの情報を発信していきたいと思います。

今年一年ご愛読をありがとうございました。
それでは良いお年をお迎えください。

Rauhallista Uutta Vuotta!

Photo by : http://meriharakka.net/2014/12/12/auringonlaskuja/fullsizerender/