GRI G4 日本語版 公式リリース

 

先日、ようやくGRI(Global Reporting Initiative = 持続可能性報告書のガイドライン)の G4(第4版)の日本語版が公式に発表されました。

 

https://www.globalreporting.org/Pages/resource-library.aspx?resSearchMode=resSearchModeText&resSearchText=G4&resCatText=Reporting+Framework&resLangText=Japanese

 

先日のブログ(改訂版発行を目前に控えて)にも書きましたが、今回の改訂の主な目的は、

 

1、より詳細で分かりやすく、初心者や経験者にとってユーザーフレンドリー

2、「マテリアリティ」(組織の重み付け)に焦点をあて、そのプロセスを報告

3、アプリケーションレベルを廃止し、「準拠」(in accordance with)を導入

4、開示事項の拡充(特にガバナンスとサプライチェーンの項目)

5、OECDやUNなどの国際的なフレームワークとの整合性

 

などに焦点が当てられています。

 

このような改訂ポイント項目の中での日本語への主な翻訳ポイントは、

・”Materiality”(マテリアリティ=組織の重み付け=組織の重要課題)→上記2に該当

・”Grievance mechanism”(苦情処理メカニズム=苦情申し立ての仕組みづくり、など)→上記4に該当

・”Decent work”(ディーセント・ワーク=社会的にまたは通常正しい=適性な労働)→上記1に該当

 

などに絞られています(もちろん細かい言葉の使い方の改訂はこれに限らずですが)。

 

このポイントの中の2つのことについて、少し触れてみたいと思います。

 

「”Materiality”とは何か?」

これは今後のCSR活動においては、全ての組織が考えていかなければならない概念でしょう。

このガイドラインでは

「サステナビリティ(Sustainability context)の実現に向け、組織が取り組むべき事項をステークホルダー(Stakeholder inclusiveness)の視点を入れて選定した、重要課題(郡)」

としています。

言葉の使い方としては「マテリアリティ」とカタカナ英語にしていますが、日本語の定義としては「組織が取り組むべき重要課題(郡)」となります。

 

その「重要課題」をどう抽出し選定していくのか。この辺りの説明が今回は分かりやすく書かれています。

初めてこのガイドラインを準拠する企業、経年に渡って準拠している企業、両者にとっても分かりやすく使いやすいように改訂されています。

 

 

「”Grievance mechanism”とは何か?」

今回の改訂版の中で初めて出て来た言葉および概念です。

これは上記4に該当しサプライチェーンの拡充を目的とするもので、サステナビリティにおけるサプライチェーンの重要性への認識を明示する項目の1つです。

具体的にどんなことかというと、「環境」「労働」「人権」「社会」の4つの分野ごとに組織の評価があり、その中での申し立ての内容が想定されます。

例えば

「環境」ー 水などの排出、汚染、騒音など

「労働」ー 雇用環境、労働安全など

「人権」ー 差別、強制労働など

「社会」ー 地域社会との関係など

こうした側面から、サプライヤーが組織へ申し立てる仕組みについてのガイドラインが今回新たに取り込まれました。

 

とは言え現実を見てみると日本企業の場合、こうした申し立ての仕組みを持っている企業はほとんど見られませんし、他国の企業でもかなり限定的になります。

各分野でどんな申し立てがあったのか、それは何件でそれに対してどんな対処をしたのか。

そういったところの開示まで今後は求められてきます。

 

日本企業は、顧客対応やサービス改善という分野においては得意ですが(例えば「お客様相談センター」などのような機能が運用している)、上記のような側面になると全く機能していないか、または企業の説明責任としての開示をしていないことが多いように見えます。

 

昨今の日本政府や企業の対応をみれば分かるように、こういう申し立てに対してきちんと対応していくことが、社会として期待されているところでしょう。

 

あくまでもこれはガイドラインの改訂ですので、実態がついてくるまでにはかなり時間がかかると思います。

しかし社会における企業のあり方が明らかに大きく変わってきている今こそ、こうしたガイドラインを率先して活用していくことが今後のサステナビリティ活動に大きく影響を与えるでしょう。

 

2014年度が始まる直前に日本語版が公式にリリースされたことで、恐らく2014年のレポートはG4に準拠する企業も出てくると予想されます。

現在のG3およびG3.1版は2015年末まで有効ですから、焦らずじっくり腰を据えて組織内外で議論を重ね、G4に準拠することを見据えて、実態を伴わせるような活動を実施していくのが望ましいのではないかと思います。

 

 

 

末筆となりましたが、今回のG4翻訳作業に微力ながらピア・レビューアとして関わらせていただきました。日本語訳についてご意見などありましたら、ぜひ以下のコメント欄よりお寄せください。