平等で民主的、多様的な社会をめざすフィンランド

12月6日は、フィンランドの独立記念日だ。1917年にロシア帝国からの独立と完全自治宣言が採択された日である。

今年2016年は99周年にあたり、2017年は独立100周年にあたる。今年はこの100周年に向けてさまざまなイベントや企画がはじまり、来年の12月6日が待ち遠しい雰囲気になってきている。

そんな中、北欧の極右翼団体が100周年の独立記念を目指して愛国心活動を活発に展開している。今年9月にはヘルシンキでネオ・ナチ団体デモが展開され、これに反対した一人の若者がデモ隊の一人に暴力を振るわれ一週間病院で治療を受けたのち、脳出血で死亡した。

この事件はフィンランド全土に「人権とは何か?」「多様性とは何か?」ということを再認識させる出来事でもあった。同時に亡くなった若者の勇気を讃え、決してデモなどには屈しないという意見があちこちから聞こえてきた。

そして迎えた先日12月6日。この日も同じくヘルシンキ界隈でネオ・ナチ団体のデモが数団体、数箇所で展開される、というニュースが事前に流れてきた。

そこに画期的な情報が入ってきた。このネオ・ナチ団体のデモに参加した実際の人数 x 0.05ユーロを各人権団体へ寄付する、というキャンペーンだった。

キャンペーンの趣旨は、フィンランドの独立とは「平等で、民主的で多様的な社会を意味する」と考えるフィンランド人に、ファシストなどの極右翼を反対する機会を与える、というもの。さらに先の殺傷事件など過去の背景もあり、こうしたキャンペーンを展開する良い機会だという。

実際にネオ・ナチ団体には何人参加したかというと、警察の公式発表で180人。180 x 0.05ユーロで一人最低9ユーロを人権団体へ寄付することになった。

このキャンペーンには9,396人が参加し、フェイスブックでは2万以上のシェアがあったという。平均一人あたり0.13ユーロの寄付額にのぼり、およそ22万ユーロのキャンペーン額となった。

寄付に参加した人へは、各人種団体のリストが送られてくるのでそこへ自ら寄付するという。このキャンペーンの主催者は安全上のリスクを考慮し匿名を名乗り、参加者との直接の接触を避けている。

もちろん私自身もこのキャンペーンに参加し、フィンランドに由来のある人種団体へ寄付した。私自身、ここでは移民外国人のマイノリティーの一員として、いつ差別を受けてもおかしくない環境にいることも再認識した。

折しも独立記念日の4日後の今日12月10日は、世界人権の日。フィンランドは男女平等、多様性のある社会と評価されているが、こうした事件は後を絶たず、最近では難民への差別なども発生している。

100周年を目前にしたフィンランド共和国。より民主的な社会をつくるために、こうした反デモキャンペーンを展開する国民性に、やはり度肝を抜かれたのであった。

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