2018年上半期を振り返って

先日知人から「最近ボランティア活動してる?」と聞かれ、ハッとした。

このサステナビリティ分野の仕事に就く前までは、週末を中心に主に環境保全活動を実施しているNGOの活動に参加していた。もうかれこれ20年近く前のことである。参加した期間はさほど長くなかったが、たしか2,3年は継続していた記憶がある。

それからこの世界へ転職し、フィンランドに移住し、子どもができ育児をしているうちに、すっかりボランティア活動のことを忘れていた。

ボランティア活動をしているかしていないかで、何かが変わるわけでも評価が伴うわけでもなんでもない。ただ、知人からの質問に対して気付かされたというのは、この世界で日々仕事をして、一日中パソコンとにらめっこしながら文章を書いたりリサーチしたり、数字を並べたりして世界で今起こっていることを文字や数字ではわかっても、特に自然環境の深刻さを肌で感じ取ることはできていないということだ。

その知人は、以前は国際的な大きな機関で働いていたのだが、ある時そこの機関で働くことにまったく興味を失ったそうだ。官僚的で、常に机上でしか物事が進まないことにストレスを感じ、本当にこれで解決に向かっているのだろうか?と自問自答したそうだ。そしてそこの組織から抜けて自身のサステナビリティ関連の会社を設立。今では自分の仕事と週末ボランティア(もう10年以上継続)をやることができて、ものすごくハッピーだと話していた。

以前は、この環境や社会課題解決に向けた活動やビジネスは「儲からない」などと言われ、日本では「ボランティア活動」や企業の「社会貢献活動」として取り組んでいる個人や組織が多かった。しかし今では「儲かる」「儲からない」という議論より、地球全体がもうサステナビリティに向けて舵を取らなければ、存続の危機を迎える(すでに迎えている)という認識の下に取り組む国、地域、社会、組織、そして個人が多くなってきた。

それでもボランティア活動は地道に行なっていかなければならない分野や地域はまだまだある。それを見ずに自分のビジネスはサステナビリティに関連したものだから、ボランティア活動はしなくてもいい・利益が伴わないからやらない・やってられないなどと誤解してはならない。

この世界で食べている人は兎角、自分も含めてボランティア活動を置いてけぼりにしやすいのではないかと思ったのだ。

サステナビリティ関連の仕事は多岐にわたり、あらゆる分野の人々が携わり解決に向けて動いている。それでも現実の問題や課題は山積みとなっている。利益やビジネス以外の部分でも活動をしていかなければ、もう間に合わないのではないか。

同じ世界で働く知人から、ボランティア活動の意義について問われたような気がした。
そしてもう一つ気付かされたのは、仕事に対する熱意や情熱を持つことと本質を見抜くことだ。

サステナビリティ関連の仕事だけではなく、一般的に言って仕事に対する情熱は、非常に大事だと思う。それには自分の仕事が好きか嫌いかという前提がある。嫌いな仕事に対して情熱を傾けるのは至難の技だ。でも好きな仕事に情熱を傾けるのは自然なことで、これほど人間として幸せなことはないと思う。

知人は、元は化学エンジニアだったが、植樹ボランティアに参加したことがきっかけで、この世界に転職。それ以来、サステナビリティに情熱を傾ける毎日だという。

しかしこのサステナビリティ関連の仕事は、好きな仕事に携われたからといって自己満足で終わっては意味がない。対象とする社会や組織、国や地域、または一人ひとりの個人がサステナビリティに向けて行動し、社会全体がより良い方向へ変わることを目的に業務を遂行している。

よくある「○○ランキング」などの上位を目指して活動しているのでもない。自己満足はこういう取り組みから感じられることが多く、以前は上辺だけで環境に取り組んでいるかのように見せかける「グリーンウォッシュ」や、最近ではSDGsのゴールのアイコンだけを並べてさも貢献していますかのように見せかける「SDGウォッシュ」というのも出てきているようだ。

このような観点から自分自身の日々の仕事を振り返ると、「レポーティングだけできて実活動は本当に実施され改善されているのだろうか」という疑問を持ち続けなければならない。組織にとっては、レポートを出すだけで満足したり、評価機関からの評価が良かったからといってそれだけで喜んでいては本末転倒である。

サステナビリティに取り組んでいるのは「良いこと」という意味ではない。取り組んでいるから「すばらしい」のではない。もうやって「当たり前」のレベルにきていて、課題の深刻さを正確に認識し、行動に移し、改善できるところまでいかなければ、本質ではない。

こういうところを見抜きながら継続していくには、やはりサステナビリティの仕事へ対する情熱を持ち続けることが大切だと再認識させられた。

 

あまり話がまとまらないのだが、久しぶりに同志と熱く語り、自分を振り返るきっかけになったことを書いてみた。日々の業務に追われていると、こうした大切なことを忘れがちで、自身で振り返ることもなくなっていた。貴重な語らいの時間であり、今年上半期を振り返る良い機会であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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北欧諸国の海洋バイオ・エコノミー

昨年末にフィンランド政府にて、北欧諸国における海洋バイオ・エコノミーの2025年に向けたロードマップが採択された。

この海洋バイオ・エコノミーとは何か?「再生可能な海洋および淡水資源の持続可能でスマートな利用に基づく、事業活動および価値創造」と定義されている。以下に簡単な概要を照会する。

ビジョン:Nordic Blue Bioeconomy 2025
・ 北欧諸国における雇用と能力の創出
・ 海洋および淡水環境とバイオ資源の良好な地位を維持し、世界市場に向けた商品とサービスを生産・開発

対象セクター:
養殖、特に魚やその他の水生動物の養殖、食糧、化粧品およびに製薬製品。また水専門知識および技術に基づく事業、水域および水生環境に基づく観光およびレクリエーション、水生生物資源の利用などの事業活動も対象。

戦略目標:
・ 効果的な研究開発とイノベーション、ネットワークとプラットフォームの構築
・ 持続可能な成長を支えるグッド・ガバナンス
・ 結果指向に基づく国際協力

テーマ:
・ 海洋とフレッシュウォーター・バイオマス
・ 水産物の生産と技術
・ ウェル・ビーイングのための海洋と水資源
・ ノルディック・ウェイのノウハウとウォーター・テクノロジー

そもそもなぜ北欧諸国がこの海洋バイオ・エコノミーを目指すことになったのか。それは、この分野において世界で優れた立場にあり、高い基準と多様な専門知識を持っていること。開発作業においては、市場主導型のアプローチを取り、革新性やリソースの効率性を持っていることが背景となっていいる。。また北欧諸国は、新製品やサービスを創出するために、企業との研究やイノベーション活動を増やす努力があることも、こうした取り組みを後押しするものと思われる。

今年2017年は、まず3つの戦略目標を実装していくことから始める。またポリシーや戦略をEU諸国全体はもちろん、北極圏をも含めて浸透させる。北欧諸国は北極評議会の主要メンバーで、フィンランドにおいては今年2017年から2年間の議長国を務めることになっており、この分野での取り組みが一層求められていくであろう。

ちなみに日本はこの北極評議会のオブザーバー国であるため、北極圏における海洋バイオ・エコノミーについては、どこかで耳にするかもしれない。逆にいえば、オブザーバー国でも率先して北極圏の持続可能性を考えていくことが、日本の国際的な持続可能な取り組みとして評価される可能性もある。
日本企業の対象セクターの方々は、これを参考に自社の生物多様性の取り組みやビジネスモデルを考えてみるのも良いだろう。

リソース:
http://valtioneuvosto.fi/en/article/-/asset_publisher/1410837/pohjoismaat-tavoittelevat-sinisen-biotalouden-kasvua (フィンランド政府)

http://mmm.fi/en/article/-/asset_publisher/clean-water-and-fisheries-resources-and-water-resources-expertise-to-boost-finnish-exports (フィンランド農林水産省)

Photo by :
http://www.huffingtonpost.com/kirsti-kauppi/why-us-nordic-relations-matter-more-than-ever_b_9807606.html