最近よく耳にする言葉 その2:「グローバリーゼーション」「グローバル化」

前回に引き続き、最近よく耳にする言葉シリーズの第2回目は、「グローバリゼーション」「グローバル化」です。

近年、企業経営の理念や方針などの中に必ずと言っていい程入っている「グローバル」「グローバリゼーション」という言葉。「グローバルカンパニーを目指して」とか「グローバルな事業を行っていきます」などといった言葉の意味は、何でしょうか。

まずは、大辞泉で調べてみると、

「グローバル」:世界的な規模であるさま。また、全体を覆うさま。包括的。

「グローバリゼーション」:国家などの境界を越えて広がり一体化していくこと。特に、経済活動やものの考え方などを世界的規模に広げること。

次に代表的な英和辞典を調べてみると、

“Global” : 全世界の、地球上の、世界的な、全世界にわたる、世界的規模の、範囲の広い、全体的(全面的、包括的)な、球状の、球形の(ランダムハウス英和大辞典)、地球規模の、地球全体の、全地球的な、世界的(国際的)な、全世界の(ビジネス技術英和辞典)

“Globalization” : 地球規模化、世界化(ルミナス英和辞典)

さらに代表的な英英辞典を調べてみると、

“Global” : relating to the whole world; worldwide, embracing the whole of something, or of a group of things(COD*1), covering or affecting the whole world, considering or including all parts of something(OALD*2),

“Globalization” : the process by which businesses or other organizations start operating on a global scale(COD), the fact that different cultures and economic systems around the world are becoming connected and similar to each other because of the influence of large multinational companies and of improved communication(OALD)

*1 : Concise Oxford english Dictionary

*2 : Oxford Advanced Learner’s Dictionary

とありました。

そもそも「グローバリゼーション」とは、世界史的に見れば第二次世界大戦後の米国を筆頭に、多国籍企業が急成長したことが始まりと言われています(Wikipediaより)。その辺りの詳細については割愛をさせていただき、ここでは近年、特に日本企業内での使われ方についていくつか綴っていきたいと思います。

その日本企業内で使われる際には、まず事業範囲が「世界的な規模」なのか否か、という視点が最初にくると思います。製品を作る、売る、サービスを提供するなどの範囲が日本以外の国でも行っているのか。それと同時に事業拠点が「世界的な規模」なのか否か。日本の本社以外の事業所は、どこにあるのか。この辺りは誰でも理解でき、それが世界展開なのか否かの判断もできます。

次に、企業を構成している従業員の採用は、「世界的な規模」なのか否か。本社が日本にあれば、必然的と日本人が多く占めることになります。しかしここで1つ疑問があるとしたら、決して日本人「だけ」の採用を行うことはないはず。なぜなら「グローバルカンパニー」とか「グローバリゼーション」と謳っている企業であれば、「地球規模の」視点で従業員を採用するはず。つまり、日本に在住する日本人以外の人種の採用も実施するはず。しかし、どのぐらいの日本企業が多人種を採用しているのか。想像するに容易いですね。他国における現地採用については、もちろん現地の人々が多数を占めるでしょうが、ここでも現地在住の現地人以外の人種を採用することも考えられます。なんたって「世界規模の」ですから。

従業員の次は、社内公用語。日本企業であれば公用語は日本語でありますが、昨今、数社の日本企業が社内公用語を英語にすると打って出ましたね(最近、これが原因でこの企業の幹部が退職したとか?!)。またある企業はTOEICで900点取ったら100万円を従業員へ報奨する制度を設けたようです。もちろん彼らの事業範囲および拠点が他国へ進出していった背景があるわけですが、では日本本社内で英語を使って仕事をすることが、「地球規模の」視点になるのでしょうか。本社に多人種の従業員がいれば、いまや国際語となった英語を使って仕事する必要はあります。また日本人同士の会話の場合、英語で行うのでしょうか。ここで疑問なのは、英語という言語を使ってものの考え方や視点が「世界的な規模」になるのか、ということです。

もちろん言語を学ぶということは、必然的にその言語の文化背景や社会背景を学ぶことにはなりますが、言語を学ぶのがゴールではないと思います。言葉はあくまでも「ツール」であって、それを使って「何を話すか・伝えるか」という内容が目的であると思います。その内容に「世界的な規模の」視点が含まれていなければ、本当の意味での英語を使う意味はないと思います。これを認識せずに英語に関する資格や試験の点数だけで判断することは、本末転倒だと思います。英語を使うのはあくまでも「世界的な規模の」視点に立つ、最初のステップにしかならないのです。

そして最後に企業のトップの考え方や行動について。トップダウンで「グローバルカンパニーを目指して」などと謳っているのであれば、そのトップ自身が「世界的な規模の」視点を持っていなければなりません。しかし、実際はどうでしょう。

以前、某「グローバル商社」と呼ばれる企業のトップが某雑誌のインタビュー記事で日本特有の企業文化について語った記事について、twitter上で炎上が起きました。それは、今まで成長社会・経済で罷り通ってきた「馴れ合い」企業文化を賞賛する一方で、近頃流行り言葉になっている「イクメン男子」を侮辱するような内容に対して、ネット上では非難の嵐でした。これらは全て「日本」でしか通用しない商習慣でありながら「グローバルカンパニー」と謳って事業活動を行い、そういうトップが自らグローバル人材と主張しているのは、おかしい、と。この企業のトップも然り、その内容を掲載する雑誌出版社もつまりは「グローバル」とは何か、を理解していない証拠なのでしょう。

よく日本人は「出来ないことは言えない」(将来のことなどは分からないから長期計画が立てられない、など)と言いますが、「グローバルカンパニーを目指して」と謳うことはできるのですね、と皮肉を言った方がいました。

ちなみに、この記事は以前ネット公開されていたのですが、この炎上を機に閉鎖されました。

ここではほんの一部の例しか取り上げず、一方ではきちんと実態と言葉が伴っている企業ももちろんあります。そしてこれを謳ってから実態と言葉が伴うまでには、時間が必要です。別に全ての企業がグローバルな活動を行う必要はないと思います。しかし大企業と呼ばれる企業は、恐らく「世界的な規模」で事業を行うことが必須になっている現状、その企業内でこうした言葉が一人歩きするような実態では、他国からの信用を継続的に得ることはできないと思います。

文部科学省では「グローバル人材育成推進事業」を設けて、学生の頃からこの「世界的な規模の」視点を持ち、自ら考えて行動するように、産学連携で推進しているようです。現在の学生はこういうチャンスを活かして自らの人格を形成していくことができます。しかし、既に社会人として数年、数十年と生きている人々にとっては、こういうチャンスは今までなく、自分で気付き、自ら行動して変えていかなければ、これからの社会には適応していかれないと思います。

そういった人々が活動している企業の事業活動の社会的な側面に対して、本当の意味での「世界的な規模の」視点が欠けている企業がまだ多くいることに、非常に危惧してなりません。

以前(今でも?!)、「ダブルスタンダード」と言われた時代がありました。また「世界の常識は日本の非常識」という言葉も。これからはこういった言葉は淘汰されていくでしょう。国際経済・社会における日本という国の立ち位置を認識して事業活動を行うと、こうした言葉の意味はなくなり、本当の意味で「日本という国の役割・立ち位置」などを打ち出していく必要が出てくると思います。

新年を新たにし各企業の年間計画などを考察する際に、ぜひともこの「グローバル化」「グローバリゼーション」とは各企業内ではどういう意味なのか、を再度問いただすことを願ってやみません。

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