2021年4月に欧州委員会が採択した「企業サステナビリティ報告指令(The Corporate Sustainability Reporting Directive – CSRD)は、企業が欧州サステナビリティ報告基準(European Sustainability Reporting Standards – ESRSs)に基づくサステナビリティ情報を報告することを義務付けることです。
そのESRSsの草案が発表されました。これは欧州財務報告諮問グループ(European Financial Reporting Advisory Group – EFRAG)が作成し、欧州委員会が採択することになっています。
EFRAGは、2022年10月31日までにESRSの初期セットを公表し、欧州委員会はその1年後の2023年10月31日までに、さらなるセクター別の基準を最終決定することが要求されています。
ESRSsの草案は、13の基準から構成されています。これらの基準は、広範な新しい開示要求を導入するもので、EU圏外の親会社の欧州子会社を含む、EU域内のほとんどの上場企業および大企業に適用されます。
現在立法手続き中ですが、現案では、2025年1月1日以降に発行される報告書から適用予定です。当初は限定的な保証ですが、その6年後の2031年には合理的保証が要求されることを目指しています。
公開草案の内容
ESRS 1 General Principles 「一般原則」 持続可能性報告の一般原則
ESRS 2 General, strategy, governance and materiality assessment disclosure requirements 「全領域における開示要求事項」包括的な開示要件に関する基準
以下は、11のESGトピックに焦点を当てた特定の開示要求事項
ESRS E 「環境」
E1 Climate change 「気候変動」
E2 Pollution 「大気汚染」
E3 Water and marine resources「水・海洋資源」
E4 Biodiversity and ecosystems「生物多様性・生態系」
E5 Resource use and circular economy「資源利用・サーキュラーエコノミー」
ESRS S 「社会」
S1 Own workforce 「従業員」
S2 Workers in the value chain 「バリューチェーンにおける労働者」
S3 Affected communities 「地域社会」
S4 Consumers and end users 「消費者とエンドユーザー」
ESRS G 「ガバナンス」
G1 Governance, risk management and internal control「ガバナンス、リスクマネジメントおよび内部統制
G2 Business conduct「事業活動」
ESRS 2内のダブルマテリアリティの要求により、このESRSs案は国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards – IFRS)の要求事項よりも幅広いステークホルダーを考慮したものとなっています。また、資本市場のニーズを満たすだけではなく、公共政策の目的にも合致することを目指しています。
今回の草案はパブコメとして、2022年8月8日までコメントを受け付けています。詳細については、こちらから
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