2020年を振り返って

今年も恒例の一年の振り返りと翌年の抱負などを書いていきたいと思います。

その前に、このCOVID-19で医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さまに感謝を述べたいと思います。自身の周りで病院や介護施設などで働く方々が多く、こうした方々がいらっしゃるからこそ、私のような役割の者が比較的安心して毎日を過ごすことができると思っています。

さて2020年は、将来振り返ったときにどのような年だったと伝えられるのでしょうか。今年一年、生きているだけでも価値があったと言うぐらいの状況となりました。

私が長年携わっているこの持続可能な社会に向けた支援の領域では、以前より気候変動の危機をはじめ、生態系の破壊、大規模な都市開発など時代ごとに大小または強弱異なりますが、根底にある危機の構造は不変であると伝えてきました。

今回のCOVID-19でこうした構造が明るみになり、大量生産・大量消費社会、そしてグローバリズムの終焉が語られ始めました。COVID-19のリスクが増大している原因は、生態系の破壊であり、今年一年間さまざまなところでこのことが伝えられことは、長年従事している者としては、正直なところやっとスタート地点に立ったかの印象です。

根本的に持続不可能な社会であり気候変動と人新世(人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された想定上の地質時代)を踏まえて、これからは社会技術システムをすべて作り変えなければならない時代へと移っていくでしょう。

年の終わりに近づいた12月下旬、ようやく日本でも脱炭素社会実現に向けた「グリーン成長戦略」が発表されたようで、ここ欧州と足並みが揃うところまできました(ただし、中身については要検討)。

その欧州も一度はEU加盟国内で分裂がみられた「グリーンニューディール」もなんとか合意に漕ぎ着けて、来年から各国内で稼働始めます。

このようにフィンランド(欧州)と日本の背景は異なりますが、それぞれの国、組織・団体、地域、そして個人において「立ち止まる」ことや「問い直す」こと、「見直しする」ことなどが余儀なくされた年だったと思います。

私自身も昨年の暮れに「2019年は『変化の兆し」の年でした」と書き、20年は自身で変化を起こす(くる)と予測し「あたりまえ」を問うと準備していたところ、自身だけではなく世界中で変化が起き社会の「あたりまえ」が崩されました。

そんな状況の中、自身の専門領域以外の学問や事柄の入り口に入らせていただき、これからの社会をどう生きていくのか、どうつくっていくのかをさまざまな角度から視て考察する機会が幾度もありました。

同時に20代や30代では「自分は人生で何をすべきか?」と言う問いだったところが、40代になり「人生は私に何を問うているのか?」と言う問いに変わり、今年はまさにその問いを突きつけられた感じがあります。

情報開示の領域ではESGが急速に語られるようになり、来年はおそらく大企業はもちろんのこと中小企業でも取り組み始めるところが出てくるのではないでしょうか。SDGsやサーキュラーエコノミー など英単語・カタカナ表記の概念に振り回されることなく、本質を見抜き環境や社会の課題を解決し、この未曾有の状況から脱出してわれわれ自らの未来を作っていくことが必要であると感じています。

昨年のブログにも書いたように2020年はアプローチを少しずつ変えていくことを念頭に置いていましたが、その根本的な部分や方法などを再考しながら、2021年は専門以外の領域の造詣も深めていきたいと思います。

そして何よりも、この想像できない状況だからこそ、人類の叡智を結集し共に未来を考えて行動に移すことが大切です。一人では社会や未来はつくれません。

国や地域差はあるけれども来年以降は厳しい時代であると言えますので、そんな中を信頼できる仲間と一緒にこの状況を乗り切っていきたいと思います。

今年一年、健康に過ごせたことに感謝しつつ、来年も引き続き健康第一に過ごしながら、この波乱に満ちた感染症の時代を生き抜いていきたいと思います。

それではどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

Rauhallista Uutta Vuotta!

藤原斗希子 – Tokiko Fujiwara Achren
ToFuAc Oy

Circular Turku〜サーキュラーエコノミーに向けた自治体による取り組みに参画〜

著者が2014年から住んでいるフィンランド南西部の古都トゥルク市は、同国のイノベーションファンド「Sitra」の支援を受けて「Circular Turku」プロジェクトを開始した(関連記事もご参照ください)。

このプロジェクトは、トゥルク地域におけるサーキュラーエコノミーを実現するために地域のロードマップを共同でデザインすることを目的としている。このプロジェクトには、同地域内の企業、地域団体、大学、研究機関、コミュニティーグループなどのステークホルダーが参加し、2021年に発表予定のサーキュラーエコノミー行動計画の策定に取り組んでいる。

こうした取り組みは、持続可能な都市と地域を目指す国際ネットワーク「ICLEI – Local Governments for Sustainability」と提携し、世界各地に向けたイニシアティブや方法論の再現性を促進することを目的としている。

このプロジェクトの第1回目のレポートが発行されているので、簡単に紹介する。

背景

同市は、市の創立800周年となる2029年までにカーボンニュートラルを目標に掲げている。これは、市の温室効果ガスの排出量を1990年比で80%削減し、残りの排出量を市が補うとしている。この目標を達成するために、以下に取り組んでいる。

  • カーボンニュートラルなエネルギーシステムへの移行
  • 低炭素で持続可能なモビリティの向上
  • 持続可能性に質する都市構造の運営
  • 投資や調達の意思決定に、気候変動や環境負荷への影響を組み込む
  • 炭素吸収源の強化

このような取り組みは、すでに利用可能な素材を保存したり、廃棄物を資源として利用したり、所有権から脱却する代替ビジネスモデルを開発したりすることで、サーキュラーエコノミー の新たな資源の需要を減らし、生産システムから廃棄物までをデザインすることを目指している。

またサーキュラーエコノミー への移行は、単一都市だけでは達成できない壮大な課題であると認識している。同市ではこのプロジェクトを通じて、地域、国内、そして国際的なパートナーと協力し、移行に向けた取り組みを加速することを宣言している。

5つの優先事項

目標達成に向けた具体的なアクションを特定するために、ロードマップで特に注目されるトピックを抽出して共同作業を開始した。

  1. フードバリューチェーン(持続可能な食料システム)

農業、肥料生産、製造、包装・貯蔵、卸売、消費者への販売、消費、栄養素、廃棄物管理として、農場から食卓までの活動を含んでいる。サーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • 農業の再生と水の効率的な農法を支持
  • 食品廃棄物の防止と管理
  • 地球環境と物質的なフットプリントの低い食品を優先すること

ちなみに「農場から食卓まで」の考え方は、欧州委員会における「公平で健康な環境配慮型の食料システム」戦略に沿った考え方である。

2. エネルギーシステム

生産、貯蔵、分配、使用に対するサーキュラーエコノミーに向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • 全体的なエネルギー需要の削減
  • 廃熱回収の促進
  • 廃棄物からのエネルギー回収の確保

3. 建物と建設システム

建物と建設におけるバリューチェーンとして、不動産の開発と設計、建築部品の材料調達と製造、建設、使用と維持管理が含まれている。この範囲でのサーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • モジュール式の使用や将来の解体のための建物設計
  • 建材の再利用の促進
  • 地元から調達した持続可能な材料の使用やリサイクルなど

4. 輸送機関システム

民間および公共の交通機関による人やモノの移動が含まれている。持続可能な低炭素モビリティ開発は、同市の主要な気候変動緩和策の一つである。輸送機関におけるサーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • モビリティの共有化の促進
  • 貨物輸送の最適化
  • 廃棄物システムを利用した車両の動力化
  • 車両の再製造・再生
  • 電子自動車部品のリサイクル性の確保

5. 水システム

水資源の取水、処理、分配、使用、排水が含まれている。水システムにおけるサーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • 帯水層の保護
  • 新たな水需要の削減
  • 効率的な水の管理
  • 排水からの熱や栄養素の回収

各トピックには、「主要なステークホルダーと既存の取り組み」「課題と機会」が提供されており、すでにいくつかステークホルダーダイアログが開催されている。

ロードマップにむけたアクション

2020年には、各トピックのステークホルダーとのさらなる協議を実施し、行動の機会を把握する。アクションを体系的に特定するために、横断的な成功要素として、以下を特定した。

  • 法規制や方針
  • 公共調達
  • 地域連携
  • 持続可能なライフスタイルと地域社会への参加
  • 企業や輸出産業との連携

日本の都市とコラボレーション

連携先のICLEIとサーキュラーエコノミー のイニシアティブや方法論の再現性を促進するために、同プロジェクトは長野市や小布施市、横浜市などと連携を取っている。

こうした都市とともに、気候変動対策として「1.5℃ ライフスタイルへの移行」キャンペーンを実施し、各地域の市民を巻き込んでいくこと目的としている(2020年10月開催予定)。

以上、簡単なプロジェクト紹介でしたが、著者もこのプロジェクトにステークホルダーとして参加しています。随時、プロジェクト進捗状況を可能な範囲でお伝えしていきたいと思います。

より詳しい内容や動向などをお知りになりたい方は、どうぞお気軽にこちらからお問い合わせください。