Circular Turku〜サーキュラーエコノミーに向けた自治体による取り組みに参画〜

著者が2014年から住んでいるフィンランド南西部の古都トゥルク市は、同国のイノベーションファンド「Sitra」の支援を受けて「Circular Turku」プロジェクトを開始した(関連記事もご参照ください)。

このプロジェクトは、トゥルク地域におけるサーキュラーエコノミーを実現するために地域のロードマップを共同でデザインすることを目的としている。このプロジェクトには、同地域内の企業、地域団体、大学、研究機関、コミュニティーグループなどのステークホルダーが参加し、2021年に発表予定のサーキュラーエコノミー行動計画の策定に取り組んでいる。

こうした取り組みは、持続可能な都市と地域を目指す国際ネットワーク「ICLEI – Local Governments for Sustainability」と提携し、世界各地に向けたイニシアティブや方法論の再現性を促進することを目的としている。

このプロジェクトの第1回目のレポートが発行されているので、簡単に紹介する。

背景

同市は、市の創立800周年となる2029年までにカーボンニュートラルを目標に掲げている。これは、市の温室効果ガスの排出量を1990年比で80%削減し、残りの排出量を市が補うとしている。この目標を達成するために、以下に取り組んでいる。

  • カーボンニュートラルなエネルギーシステムへの移行
  • 低炭素で持続可能なモビリティの向上
  • 持続可能性に質する都市構造の運営
  • 投資や調達の意思決定に、気候変動や環境負荷への影響を組み込む
  • 炭素吸収源の強化

このような取り組みは、すでに利用可能な素材を保存したり、廃棄物を資源として利用したり、所有権から脱却する代替ビジネスモデルを開発したりすることで、サーキュラーエコノミー の新たな資源の需要を減らし、生産システムから廃棄物までをデザインすることを目指している。

またサーキュラーエコノミー への移行は、単一都市だけでは達成できない壮大な課題であると認識している。同市ではこのプロジェクトを通じて、地域、国内、そして国際的なパートナーと協力し、移行に向けた取り組みを加速することを宣言している。

5つの優先事項

目標達成に向けた具体的なアクションを特定するために、ロードマップで特に注目されるトピックを抽出して共同作業を開始した。

  1. フードバリューチェーン(持続可能な食料システム)

農業、肥料生産、製造、包装・貯蔵、卸売、消費者への販売、消費、栄養素、廃棄物管理として、農場から食卓までの活動を含んでいる。サーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • 農業の再生と水の効率的な農法を支持
  • 食品廃棄物の防止と管理
  • 地球環境と物質的なフットプリントの低い食品を優先すること

ちなみに「農場から食卓まで」の考え方は、欧州委員会における「公平で健康な環境配慮型の食料システム」戦略に沿った考え方である。

2. エネルギーシステム

生産、貯蔵、分配、使用に対するサーキュラーエコノミーに向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • 全体的なエネルギー需要の削減
  • 廃熱回収の促進
  • 廃棄物からのエネルギー回収の確保

3. 建物と建設システム

建物と建設におけるバリューチェーンとして、不動産の開発と設計、建築部品の材料調達と製造、建設、使用と維持管理が含まれている。この範囲でのサーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • モジュール式の使用や将来の解体のための建物設計
  • 建材の再利用の促進
  • 地元から調達した持続可能な材料の使用やリサイクルなど

4. 輸送機関システム

民間および公共の交通機関による人やモノの移動が含まれている。持続可能な低炭素モビリティ開発は、同市の主要な気候変動緩和策の一つである。輸送機関におけるサーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • モビリティの共有化の促進
  • 貨物輸送の最適化
  • 廃棄物システムを利用した車両の動力化
  • 車両の再製造・再生
  • 電子自動車部品のリサイクル性の確保

5. 水システム

水資源の取水、処理、分配、使用、排水が含まれている。水システムにおけるサーキュラーエコノミー に向けたアプローチとして、以下が含まれている。

  • 帯水層の保護
  • 新たな水需要の削減
  • 効率的な水の管理
  • 排水からの熱や栄養素の回収

各トピックには、「主要なステークホルダーと既存の取り組み」「課題と機会」が提供されており、すでにいくつかステークホルダーダイアログが開催されている。

ロードマップにむけたアクション

2020年には、各トピックのステークホルダーとのさらなる協議を実施し、行動の機会を把握する。アクションを体系的に特定するために、横断的な成功要素として、以下を特定した。

  • 法規制や方針
  • 公共調達
  • 地域連携
  • 持続可能なライフスタイルと地域社会への参加
  • 企業や輸出産業との連携

日本の都市とコラボレーション

連携先のICLEIとサーキュラーエコノミー のイニシアティブや方法論の再現性を促進するために、同プロジェクトは長野市や小布施市、横浜市などと連携を取っている。

こうした都市とともに、気候変動対策として「1.5℃ ライフスタイルへの移行」キャンペーンを実施し、各地域の市民を巻き込んでいくこと目的としている(2020年10月開催予定)。

以上、簡単なプロジェクト紹介でしたが、著者もこのプロジェクトにステークホルダーとして参加しています。随時、プロジェクト進捗状況を可能な範囲でお伝えしていきたいと思います。

より詳しい内容や動向などをお知りになりたい方は、どうぞお気軽にこちらからお問い合わせください。

Circular Economy Lab Japanのウェブサイトを引越しいたしました

2018年より、日本へサーキュラーエコノミー を普及、促進するためのプラットフォーム「Circular Economy Lab Japan」を運営してきましたが、この度ウェブサイトを引越ししました。

新しいウェブサイトはこちらになります。

2019年にサーキュラーエコノミーを共に学びながら一緒に考えるワークショップを開発し、オフラインでのワークショップを開催しました。

今後はオンラインでのワークショップの開発も行いながら、引き続き普及、促進を行い、持続可能な社会の実現を一緒に行っていきたいと考えています。

サーキュラーエコノミーやワークショップについてなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。